節分に恵方巻きを食べる習慣はよく知られていますが、「恵方」とは一体何でしょうか?また、どうやって決まるのかをご存じでしょうか?実は、恵方は古代中国の暦である「十干(じっかん)」という仕組みに基づいて決まっています。今回は、その決め方を分かりやすく説明します。
恵方とは?
「恵方」とは、その年の吉方位を指し、特に節分の時期に重視される方角です。その年の歳徳神(としとくじん)がいる方角を指します。歳徳神は、福をもたらす神様とされ、その方角に向かうと縁起が良いとされています。節分の日には恵方に向かって、その年の商売繁盛や無病息災などを願って、恵方巻きを食べる風習があります。
恵方はどうやって決まる?
恵方の決め方
恵方は、十干(じっかん)という暦の要素に基づき決まっています。実は、恵方には4つの方角しかなく、それぞれが周期的に割り振られているだけなのです。
具体的には、以下の4つの方角です。
- 甲(きのえ)、己(つちのと):東北東やや東寄り
- 乙(きのと)、庚(かのえ):西南西やや西寄り
- 丙(ひのえ)、辛(かのと)、戊(つちのえ)、癸(みずのと):南南東やや南寄り
- 丁(ひのと)、壬(みずのえ):北北西やや北寄り
十干(じっかん)とは
「十干(じっかん)」とは、古代中国で生まれた暦の基本的な仕組みで、10種類から成り立っています。十干は「甲(きのえ)」「乙(きのと)」「丙(ひのえ)」「丁(ひのと)」「戊(つちのえ)」「己(つちのと)」「庚(かのえ)」「辛(かのと)」「壬(みずのえ)」「癸(みずのと)」の順に繰り返され、年・月・日・時間を表す際に使用されるほか、方角などにも活用されています。
たとえば、2025年の十干は「乙(きのと)」にあたります。この乙に対応する方角が「西南西やや西寄り」であるため、その年の恵方が決まります。

簡単な覚え方
『十干なんてわかりづらいし、覚えられないよ!』って方にはもう少し簡単に理解する方法があります
その方法は、西暦と十干の関係を利用する方法があります。十干は10種類の要素からなり、西暦も十進法で表されているため、西暦の下一桁を使えば、その年の恵方を簡単に把握できます。
「0」→庚(かのえ)、「1」→辛(かのと)、「2」→壬(みずのえ)、「3」→癸(みずのと)、「4」→甲(きのえ)、「5」→乙(きのと)、「6」→丙(ひのえ)、「7」→丁(ひのと)、「8」→戊(つちのえ)、「9」→己(つちのと)。このような対応関係になります。
十干と西暦の対応関係を覚えておくと便利です:
- 下一桁が 4・9(甲・己)の年は東北東やや東寄り
- 下一桁が 0・5(庚・乙)の年は西南西やや西寄り
- 下一桁が 1・6(辛・丙)、3・8(癸・戊)の年は南南東やや南寄り
- 下一桁が 2・7(壬・丁)の年は北北西やや北寄り
例えば、西暦 2025年 の場合、下一桁は 5 なので、この年の恵方は「西南西やや西寄り」となります。このルールを覚えておけば、毎年の恵方を簡単に調べることができます。
これで、恵方の計算が少し身近に感じられたのではないでしょうか?
恵方の方角が少しずれている理由
一般的に「今年の恵方は西南西」といった表現が使われる一方で、実際には「西南西やや西寄り」というように微妙にずれた角度になっています。
このずれが生じる理由は、16方位と24方位の違い、および恵方の伝統的な決め方にあります。
16方位とは?
16方位は、360度を16等分し、各方位は22.5度間隔で区切られています。
一般的によく使われている「東・西・南・北」や「南東」、「西南西」などといった方角も、この分類に含まれます。
24方位とは?
24方位は、360度を24等分し、1方位が15度間隔となる細かい区分です。
十二支(子・丑・寅…)を基に16方位を作り、さらに十干(甲・乙・丙…)を組み合わせることで、24方位としてより細かい方角を定める仕組みになっています。
この方式では、「西南西(247.5°)」の隣に「西南西やや西寄り(255°)」のような中間的な方位が存在します。

伝統的な方位観の影響
中国や日本の古代では、16方位よりもさらに細かい24方位が使われることが一般的でした。恵方もこの細かい分類をもとに決められているため、「西南西」ではなく、「西南西やや西寄り」といった微妙なズレが生まれています。
また、風水や陰陽道では、吉方位をより正確に定めることが重要とされていたため、24方位のようにより細かい区分が求められていました。こうした考えが、恵方の決定にも影響を与えています。
実用面での影響
現代では、コンパスアプリなどを使えば正確な角度を測ることができます。そのため、「西南西やや西寄り(255°)」といった細かい方角指定も可能です。しかし、昔はそこまで正確に測ることが難しかったため、より大まかに「西南西」や「南南東」などと表現されていました。
その名残で、現在でも「今年の恵方は西南西」と言われるものの、実際には255°を指しているという状況になっています。
まとめ

恵方は、古代中国の暦「十干(じっかん)」に基づいて決まる、毎年の吉方位です。恵方を知るためには、十干と西暦の対応関係を覚えておくと便利で、最終的にその年の恵方がどの方角かを簡単に知ることができます。
また、恵方が「西南西」などと表現される一方で、実際には微妙にズレた方角が指されていることもあります。これは、16方位と24方位の違い、そして伝統的な方位観に由来しています。現代では、より細かい方位を意識できるようになりましたが、昔ながらの大まかな方角表現が今でも使われ続けているためです。
このように、恵方はただの方角ではなく、歴史的背景や文化が反映された深い意味を持っています。節分の際には、コンパスアプリなどを活用して正確な恵方を意識することで、さらに運を引き寄せることができるかもしれませんね!
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