虎大工業のモバイルバッテリーシリーズといえば、無骨なデザインとバッテリーを取り替える「リロード」動作を楽しめるのが大きな魅力です。
私は以前から「BT-20」を愛用しており、今回登場した新モデル「BT-22」がどんな進化を遂げたのか気になっていました。
新モデル「BT-22」で変わったのは、大きく3つです。最大出力が20Wから22Wに上がったこと、ストラップと一体になった充電ケーブルが付属するようになったこと、そして別売りのフラッシュライトモジュール「LM8」が使えるようになったことです。本体の形とサイズはほぼそのままなので、見た目だけでは違いが分かりません。
この記事では、両方を使ってみた感想と、両方の仕様を比較しながら、BT-22とBT-20の違いを整理します。あわせて、意外と見落としやすい「使える21700バッテリーのサイズ」についても書いています。
『BT-22』と『BT-20』仕様の比較
| BT-22 | BT-20(旧モデル) | |
|---|---|---|
| サイズ(縦×横×厚み) | 85×49×24.5 mm | 約85×49×24.5 mm |
| 重量 | 37±2 g | 37±2 g |
| 最大出力 | 22W | 20W |
| 定格入力 | 5V~3A、9V~2.22A、12V~1.67A | 5V~3A / 2A(Eco) |
| 定格出力(バッテリー) | 4.2V~4A | 4.2V~3A / 2A(Eco) |
| 定格出力(Type-C) | 5V~3A、9V~2.22A、12V~1.67A、11V~2A Max | 5V~3A、9V~2.22A、12V~1.67A |
| エコモード出力 | 5V~3A Max | 5V~3A Max |
| 放熱性 | グラフェン熱伝導+均熱銅板 | 多孔真空シリコン断熱層 |
| 充電プロトコル | QC / FCP / SCP / AFC / Apple2.4A / PD / PPS | QC / FCP / SCP / AFC / Apple2.4A / PD |
| 対応バッテリー | INR 21700、20700、18650(18650はアダプターが必要) | INR 21700、20700、18650(18650はアダプターが必要) |
本体サイズや重量は変わりませんが、「BT-22」は旧モデル(BT-20)に比べ、最大出力が20Wから22Wにアップし、よりパワフルで安定した充電ができるようになりました。
内部構造も改良され、「グラフェン熱伝導+均熱銅板」の採用により、熱を効率よく逃がし、放熱性能がさらに向上しています。
22Wになって何が増えたのか
「20Wが22Wになった」と言われても、2Wの差にどんな意味があるのか分かりにくいところです。中身を見ると、増えたのは電圧の段が1つです。
BT-20のType-C出力は5V/3A、9V/2.2A、12V/1.67Aの3段で、いちばん高いところが約20Wでした。BT-22はこれに11V/2Aが加わっていて、この段がちょうど22Wにあたります。つまり出力全体が底上げされたというより、対応できる電圧の選択肢が1つ増えた、という変化です。
数字が2W増えたことよりも、機器側が要求する電圧に近い段を選べるようになったことのほうが実用上は効いてきます。
また、新たにPPS(Programmable Power Supply)という充電方式に対応し、機器に合わせてより最適な充電が可能になりました。
外観とデザインの違い
本体サイズや重量は変わりません。並べて置いても、ぱっと見では区別がつかないほどです。細かなデザインが追加されています。


外観で最も分かりやすい違いは、ストラップホールが追加された点です。
付属のラニヤードケーブルが地味に便利
BT-20に付属していたのは、1mのType-Cケーブルでした。BT-22では、ストラップとUSB Type-Cケーブルが一体化した「ラニヤードケーブル」が付属します。長さ16cmのType-C to Type-Cで、このケーブルを取り付けるために、新たにストラップホールが設けられています。
使ってみて意外と便利だったのが、このケーブルでした。BT-20のときは充電用のケーブルを別に持ち歩く必要があり、うっかり忘れることもありました。BT-22はストラップホールにケーブルがぶら下がっているので、本体を持ち出せばケーブルも一緒についてくることになります。

別売りアクセサリー:フラッシュライトモジュール「LM8」
今回のモデル「BT-22」にはフラッシュライトモジュール「LM8」(別売り)が用意されています。

LM8にはパススルー機能があり、ライトを点けたままスマホの充電もできます。正規取扱店の商品ページによると、ライトモジュールは充電システムとは独立して設計されているため、取り付けても充放電のパワーや急速充電機能に影響はないとのことです。

使えるバッテリー・使えないバッテリー
バッテリー交換式である以上、どのバッテリーが入るかは購入前に確認しておきたいところです。
対応しているのはINR規格の21700・20700で、18650は変換アダプターを使えば対応します。ここまではBT-20と同じです。
21700を使う場合はサイズの制限がある
見落としやすいのがサイズの制限です。正規取扱店の案内では、直径21.7mm・長さ71.5mmまでの21700/20700が使用可能とされていて、直径21.8mmを超える21700バッテリーには対応しません。さらに、Panasonicの21700Aバッテリーは互換性がないと名指しで書かれています。21700という規格名だけで選ぶと入らないことがあるので、手持ちのバッテリーを使い回すつもりならサイズを測ってから買うのが確実です。
出典:虎大工業 BT-22 商品ページ(楽天市場・正規取扱店のよくある質問)
18650を使う場合はもうひと手間かかる
18650を使うには変換アダプターが必要です。私はBT-20を買ったときに商品説明をよく読まず、あとからアダプターがないと使えないと気づきました。18650をそのまま入れると、長さも太さも足りずにすき間ができてしまいます。
そのBT-20で試した結果は、そのままBT-22にも当てはまります。長さ約65mmの18650はアダプターと組み合わせて問題なく動きましたが、約69mmのものは無理やり押し込む形になり、本体に負担がかかりそうでした。安全に使うなら、18650の長さは約65〜68mmまでが適正だと考えています。
純正の変換アダプターはフラットトップ(プラス極が平らなタイプ)用に作られています。ボタントップでも使えましたが、こちらは自己責任です。
保護回路付きの18650は70mmを超えるものがあり、その場合は長さが足りているのでアダプターは不要です。太さだけ埋めればよいので、100円ショップで買えるスパイラルチューブを短く切って巻きつければ代用できます。
もうひとつ、シュリンクフィルム(バッテリーを包んでいる熱収縮チューブ)が接点の邪魔をして動かないことがあります。その場合はフィルムの一部をカットすると通電するようになります。
このあたりはBT-20で18650を使ってみた記事に、アダプターや失敗した経緯まで含めて詳しく書いていますので、ぜひ参考にしてください。
バッテリーの入れ替えと充電のしかた
バッテリーの取り外しは、リリースボタンをスライドしてから両側を押します。片側だけを押してもバッテリーは出てきますが、長く片側だけを押し続けると摩耗が進んで故障の原因になる、と正規取扱店の商品ページで注意が出ています。癖になりやすい部分なので、最初から両側を押す持ち方に慣れておいたほうがいいところです。
あわせて気をつけたいのが、取り外したバッテリーの落下です。ロックを解除するとスルッと出てくるので、受け止めそこねると床に落とすことになります。リチウムイオンバッテリーは強い衝撃で内部が傷むと発熱や発火につながる恐れがあり、外装がへこんだり、被膜が破れたりしたものは使わないほうが安全です。取り外すときは、低い位置で手のひらに受けるようにするのが確実です。
バッテリーの充電は、BT-22本体が充電器を兼ねます。市販のPD充電器やスマホ用充電器を本体のType-Cにつなげば、装填したバッテリーが充電されます。最大5V/3Aで入力でき、バッテリー1本の満充電まで約2時間が目安です。
ただし、充電できるのは本体に入っている1本だけです。4本セットを買っても、まとめて充電する仕組みは用意されていないので、1本ずつ入れ替えて充電することになります。ここはバッテリーを複数持つほど手間が増える部分で、本数が多い人は市販の21700対応充電器を別に用意したほうが早いかもしれません。
BT-22を実際に使ってみて感じたこと
旧モデル(BT-20)の操作性をそのまま受け継いでいるため、基本的な使い方は戸惑うことはありませんでした。
また、フラッシュライトのアクセサリーが加わったことで、見た目にもギア感が増しています。ちょっとした作業やアウトドアでも活躍しそうです。
全体的に見ると、旧モデル(BT-20)の使いやすさをしっかり受け継ぎながら、「BT-22」はさらに実用性と完成度を高めたモデルだと感じました。
気になったところ
旧モデルのときから感じていたことですが、強いて言えばもう少し重みがあると手にしっくり馴染みそうです。軽くて持ち運びやすい反面、少し軽すぎて物足りなさを感じてしまいます。
もうひとつ気をつけたいのが、充電できる機器です。この製品が想定しているのはスマホ・タブレット・スマートウォッチ・ハンディファンなどで、ゲーム機やノートPCといった消費電力の大きい機器は対象外とされています。
BT-22が向いている人/向いていない人
向いているのは、次のような人です。
- モバイルバッテリーを「消耗したら丸ごと買い替えるもの」にしたくない人
- 停電や災害時に、バッテリーさえあれば充電できる手段を持っておきたい人
- バッテリーを装填するギミックそのものを楽しめる人
- ライトを含めて1つのギアとしてまとめたい人
向いていないのは、次のような人です。
- ノートPCやゲーム機を充電したい人
- バッテリーを複数本まとめて充電したい人
- とにかく軽く薄い板状のバッテリーが欲しい人
すでにBT-20を持っている場合、買い替えの動機になるのはライトモジュールとラニヤードケーブルです。充電性能の差だけを理由に乗り換えるほどの違いではありません。BT-20をそのまま使い続けて、18650バッテリーを活用する方向で運用するのも十分ありだと思います。
よくある質問
Q1. BT-22とBT-20の違いは何ですか?
最大出力が20Wから22Wに上がり、バッテリーへの充電速度が向上しています。外観ではストラップホールが追加され、ストラップ一体型のケーブルが付属します。また、別売りのフラッシュライトモジュールLM8に対応しているのはBT-22だけです。
Q2. BT-20で使っていたバッテリーは、BT-22でもそのまま使えますか?
使えます。対応するのはINR規格の21700・20700で、18650は変換アダプターを使えば対応します。この点はBT-20とBT-22で共通です。
Q3. 市販の21700バッテリーなら何でも使えますか?
いいえ、サイズの制限があります。正規取扱店の案内では直径21.7mm・長さ71.5mmまでが使用可能とされていて、直径21.8mmを超える21700バッテリーには対応しません。Panasonicの21700Aバッテリーは互換性がないと明記されています。手持ちのバッテリーを使う場合は実寸を確認してください。
Q4. フラッシュライトモジュールLM8はBT-20でも使えますか?
使えません。LM8はBT-20にも物理的に取り付けられますが、点灯しません。BT-22専用のアクセサリーです。
Q5. バッテリー1本を満充電するのにどれくらいかかりますか?
BT-22の本体が充電器を兼ねているため、市販のPD充電器やスマホ用充電器を本体につないで充電します。最大5V/3Aで入力でき、約2時間が満充電の目安です。ただし充電できるのは本体に装填した1本だけで、複数本をまとめて充電することはできません。
Q6. ノートPCやゲーム機の充電にも使えますか?
正規取扱店の商品ページでは推奨されていません。スマホ・タブレット・スマートウォッチ・ハンディファンといった小型機器向けに設計された製品で、ゲーム機やノートPCのような消費電力の大きい機器への充電は想定されていません。
まとめ
BT-22は、BT-20と比べて見た目の変更は小さいものの、中身はしっかり進化していました。最大出力が22Wに上がり、充電も速くなり、放熱の構造も見直されました。
日常での使い勝手という点では、ストラップホールとラニヤードケーブルの追加が特に便利になりました。ケーブルを別に持ち歩かなくていいというだけで、持ち出すときの心理的な負担が減りました。
別売りのフラッシュライトモジュールを足せば、非常用の道具としての幅も広がります。ただし、LM8はBT-22専用でBT-20では点灯しないこと、使える21700バッテリーには直径と長さの制限があることの2点は、買う前に押さえておいたほうがいいところです。
バッテリーが切れても、新しいものに差し替えれば復活する。この構造そのものが好きな人にとっては、BT-22は素直に楽しめるアップデートモデルです。



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